本県の新採教員に単独で担任を持たせない体制が進んでいます

本県教委が今年度(令5)導入した制度が画期的です。

そんなことができればそれに越したことはないと現役時代に思われていた魁夷の皆様もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。また、他県の類似例を聞いたことがある人は逆にいらっしゃらないのではないでしょうか。

予算的にも、県は23年度予算で、教員の働き方改革の施策として69051万円を計上。うち約3分の1と大きな割合を占める22899万円を充てたのが、この、新卒の小学校教員の育成支援です。

 

実際は、一定規模以上の県内小学校(公立)に配属した新採教員を、担任ではなく「教科担任兼学級副担任」とするというもので、見出しのように全ての新採教員が担任を持たないわけではありません。より具体的には5年生または6年生が3学級以上ある規模の小学校を対象とするというもので、県内に223校ある公立小学校のうち、39校が該当とのこと。ですので、全ての小学校の2割にも満たないものです。

ですが、新採教員の教科担任としての授業時間数は週17コマを目安に設定ということですので決して多くはありませんし、それ以下の規模の学校においては新採でも学級担任を持つことになりますが、そこに、再任用短時間勤務職員や非常勤講師などを支援員として配置することで空きコマを生み出し、新採教員の負担軽減を目指すというのです。

新卒新採者の負担を軽減するという意味では、効果的な対策に繋がるのではと期待が大です。

 

背景は深刻(離職の増加、志願者の減少)

ただ、背景には、若手の離職が急増している現実や教員志願者数の減少、採用倍率の低下など、看過できない現状があります。

 

若手教員の離職増は深刻で、採用5年目までの若手の退職は2017年度(13人)→21年度(30人)と2倍以上の増加。特に、精神疾患が理由の退職は17年度(2人)→20年度(7人)、21年度(7人)。退職者全体の中での割合も17年度(15%)→20年度(32%)、21年度(23%)と増加傾向です。

経験の浅い教員が学級担任として、授業から生活指導、保護者対応まで全て担うのは負担が大き過ぎるという問題意識から、育成のための「教科担任兼学級副担任」制が浮上とのこと。

 

支援員確保については、定年退職者の他、ペーパーティーチャー、子育てで一度リタイヤした人などの他、プリント印刷や採点補助などを行うスクール・サポート・スタッフなどの仕事も盛り込み、外部人材活用によっても教員が授業に集中できる環境整備を進めているとのこと。

一方で、長時間勤務問題によるイメージダウンによる、学生の「教職離れ」も深刻で、この情報のコーナーでも先にグラフで示しましたが、本県の採用倍率(教員全体志願者数/募集人数)は13年の7.2倍から22年度には2.5倍になり、とくに小学校は5.2倍から1.5倍まで低下しました。そして今年(令和5年度に実施予定の選考試験)は1.3倍に。ただ、採用者の少ない高校の区分では、5.4倍となっています。令和4年度の倍率は3.0倍で、全国平均で下から6番目、ここ最近は約2倍から3倍で、本県教採は広き門になっているようです。

 

課題解決に向けて、私たち退職校長会も、出来ることを考えて、出来る形で表して、学校や若い教員、後輩たちを応援していきましょう。(参考:東洋経済education☓ICT https://toyokeizai.net/articles/-/665583