文部科学省から、昨年度実施の公立学校教員採用試験の、受験者数や採用者数、採用倍率等の実施状況について、令和4年9月9日に公表されています。
詳しくは、次のリンク先をご覧ください。
令和4年度(令和3年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況について:文部科学省 (mext.go.jp)
採用倍率は年ごとの採用枠に影響されますので、受験者数の推移に注視することが必要です。
ここ10年間の受験者数の推移について、まずは、全国の状況を見てみます。
※ このグラフ以降の数値には、養護教諭と栄養教諭は含まれていません。
続いて、本県の受験者数の推移です。
全国と同じような傾向が見て取れますが、精査すると、平成24年度と令和4年度を比較した減少率は、全国が▲31.8%であるのに対し、山形県は▲42.6%と上回っており、校種を問わず、教員採用試験の受験者数が減少しています。
一方で、ここ数年の状況をよく見ると、本県においては、中学校、高等学校で減少傾向が鈍化または横ばい、または増加に転じているのに対し、小学校では減少傾向が止まらないことが分かります。小学校に特化される課題の存在が透けて見えてくるのではないでしょうか。
〈ここから追記〉
本県の、令和5年度採用の選考試験(令和4年度実施)について受験者数及び一次合格者数が発表されました(9月9日)。受験者数を読み解くと、前述の傾向は継続しているようです。
受験者数、一次合格者数の順
小学校249(内英語教員11)、232、中学校238、132、高校193、70、特支32、32
採用倍率は「受験者数/採用者数」ですので、年ごとの採用者数
(採用枠)が影響します。
では、ここ10年間の採用者数の枠はどのように変わったのでしょうか。推移をみるために、平成24年度の採用者数を基準としてその後の増減の割合を表したのがこのグラフです。
全国的には平成29年度から高等学校の若干狭くなったのに対し、他校種では逆に広がりが見て取れます。
一方、山形県については、小学校における枠が極端に広がっていることが分かります。ただ、ここ数年は頭打ちのようです。実数では平成24年度採用者(小学校)が61人だったのに対し、令和4年度は182人と約3倍になっています。また、中学校や高校の枠は平成の終わりごろから一度増加しましたが、令和元~2年をピークに減少に転じたように見えます。大量退職の落ち着きに伴い、小学校においても、今後は減少していくのでしょうか。
全国及び本県の採用者数の実数の推移はこの2つのグラフのようになります。
採用枠の推移をふまえた上で、採用倍率の推移を見てみます。
まず全国ですが、令和4年度採用倍率については、全体でも過去最低を更新、特に小学校では2.5倍と「4年連続で過去最低」と報道でも話題になりました。文部科学省は、大量退職に伴う採用者数の増加や既卒受験者の大幅減少などが影響と分析しています。
本県の場合、小学校の4年度の倍率は1.5倍でした。この数は、自治体別にみても秋田、福岡両県の1.3倍、佐賀、大分の1.4倍、ほぼ同倍率の長崎県に次ぐ全県で6番目に低い数値となっています。「受験者数の大幅な減少」に加え、先ほどの枠の広がりを考慮したとしても「今後については採用枠の減少が見込まれること」も併せて考えると、とても心配される状況なのではないでしょうか。一方、中学校・高等学校では、ここ数年で倍率が増加に転じたようです。(中学校3.7倍、高等学校5.5倍、特別支援1.7倍)